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トレーリングストップ:トレードの損失を出来るだけ抑える方法
執筆者 XS Editorial Team
更新済み 2024年9月27日
目次
トレーリングストップは利益を守るために大切です。市場の急な変動に対するリスク管理を自動化する取引方法です。
トレーリングストップの取引損失の抑え方、利益保護、リスク管理など、仕組みとタイミングについて説明します。
ポイント
- トレーリングストップは、ストップロスが有利な方向への価格変動に合わせて動く注文方法です。
- 市場が有利に動くと、ストップロスレベルを調整し損失を防ぎます。
- トレーリングストップは、自動化されたリスク管理機能です。
トレーリングストップとは?
トレーリングストップは、利益を確保しながら損失を防ぐためのストップロスの一種です。
特定の価格で固定される従来のストップロスとは異なり、トレーリングストップは市場価格の動きに合わせて自動で調整されます。
市場の方向に合わせて動き株価が下落したところで決済するため、利益の確保が可能です。
トレーリングストップの例
株を$100で買い10%のトレーリングストップを設定したとします。
株価が$130に上昇するとトレーリングストップは$117($130の10%下)に調整されます。
その後株価が$115に下落したとします。価格がこの値($117)を下回った時点でトレーリングストップが設定されます。ポジションは市場価格で売却され、1株あたり$17の利益が確保できます。
トレーリングストップの種類
トレーリングストップには、パーセンテージベース、ドルベース、ボラティリティベース、時間ベースなど複数の種類があります。
パーセンテージベース
市場価格の割合に基づいてストップロスレベルを調整します。例えば、$100で取引されている株に10%のトレーリングストップを設定すると、ストップロスレベルは$90になります。株価が$110に上昇すると、ストップロスレベルは$99に引き上げられ、10%の差を保ちます。そのため、パーセンテージベースでは、価格に対して安定した取引が可能となります。
ドルベース
市場価格より下(またはショートポジションの場合は上)にストップロスレベルを設定します。例えば、$100の株に$10のトレーリングストップを設定すると、最初のストップロスレベルは$90になります。株価が$120に上昇すると、ストップロスレベルは$110に引き上げられ、$10の差を維持します。パーセンテージベースとは違い、ストップロスの金額を具体的に設定するする方法です。
ボラティリティベース
ボラティリティベースの設定では、平均真の範囲(ATR)の指標を使用して、価格変動に応じて調整できるトレーリング額を設定します。価格変動に有効的で、市場の変化に合わせて調整されます。市場の動きを考慮することで、価格変動によるストップロスの発動を避けたリスク管理が可能となります。
タイムベース
時間ベースのトレーリングストップは、一定の時間間隔でストップロスレベルを調整します。
例えば、価格変動に関係なく、定期的に一定の額ずつストップロスを上げるように設定することができます。
このタイプのストップロスは、特定の期間に合わせて取引を管理するための方法で、時間ベースの調整が有効的な取引で使用されます。
それぞれのメリットを考慮し、戦略、リスク許容度、取引の特性に基づいて取引をすることができます。
トレーリングストップの仕組み
トレーリングストップの仕組みを見てみましょう。
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トレーリング額の設定: トレーリングストップで使用する額を決めます。固定されたドル額または市場価格に対するパーセンテージで設定できます。例えば、株価が$100の場合に10%のトレーリングストップを設定すると、最初のストップロスは$90になります。
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注文の設定: トレーリングストップの注文を設定します。ブローカーによって株価が上昇すると、トレーリングストップも調整されます。例えば、株価が$120に上がれば、トレーリングストップは$108(120ドルの10%下)になります。
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価格の動き: 市場価格の上昇に合わせてトレーリングストップも動きますが、価格が下がり始めた場合、トレーリングストップは最高値の調整された位置に設定されます。
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成立: 株価がトレーリングストップレベルまで下落した場合、注文は執行され、その時点での市場価格でポジションを売ります。
トレーリングストップでの取引のタイミング
トレイリングストップの使用は、リスク管理と利益保護のための実践的なアプローチで価格が大きく変動する市場で特に有効です。
トレーリングストップは、有利な値動きに自動的に調整されるため、収益性の高い取引が可能となり、急な反転に対するセーフティネットにもなります。
以下は、トレーリングストップを使用すると効果的な事例です。
市場トレンド
強い市場トレンドの時にトレーリングストップを使用すると効果的です。市場は、上昇トレンドでは価格が上がり、下降トレンドでは価格が下がります。
トレーリングストップでは、市場のトレンドを捉える際に有効的で、価格が有利な方向に動くと、トレーリングストップも連動して動きます。
例えば、株を$50で購入し、それが$80まで上昇した場合、トレーリングストップを10%に設定すると、ストップロスは最初の$45から$72まで上がり、大きな利益を確保できます。
ボラティリティの高い資産
トレーリングストップは、ボラティリティの高い資産を扱う取引において有効です。ボラティリティの高い資産は、短期間で価格が急激に変動することがあるため、固定のストップロスではリスク管理が難しい場合があります。
トレーリングストップは値動きを自動的に調整しつつ、リスクを管理できます。通貨ペアのボラティリティの高い外国為替市場では、トレーリングストップを利用することで、利益を確保しながら損失を防ぐことを可能とします。
長期トレード
長期トレードでトレーリングストップを利用し、利益を確保する方法もあります。時間の経過とともに資産価格が上昇すると、トレーリングストップは上昇し、市場が下降しても利益を失わないようにします。
成長株や長期にわたって保有する金融商品への投資に有効です。トレーリングストップを設定することで、大きな損失を最小限に抑えながら長期的なトレードが可能となります。
取引戦略
トレーリングストップは、複数の取引戦略で有効です。短期間で取引を完了するスイングトレードでは、トレーリングストップを用いることでスイング中に利益を確保できます。
トレンドの勢いを見て取引をするモメンタムトレードでは、トレーリングストップを用いることで価格が有利な方向に動き続けている間に利益を保持することができます。
リスク管理
リスク管理の戦略としてトレーリングストップを使うことで、出口戦略を実行しやすくし、全体的なリスク管理の一貫性を保つことができます。トレーリングストップは、事前に設定したリスク許容範囲を守ることで取引における誤った判断を防ぎます。
クローズ戦略を自動化することでリスク管理に従って管理されることを保証し、損失の可能性を最小限に抑えます。
トレーリングストップのメリットとデメリット
以下はトレーリングストップのメリットとデメリットです。
メリット
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利益の最大化: 市場価格に合わせて動くため多くの利益を得ることができます。
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損失の制限: 取引の最大損失額を事前に設定可能です。
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自動化: 常に市場の動きをを確認する必要が抑えられます。
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柔軟性:複数の取引戦略やリスク許容度に合わせることが可能です。
デメリット
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ウィップソーリスク: ボラティリティの高い市場では、短期的な価格変動によってトレーリングストップが機能し、早めにポジションを閉じてしまうことがあります。
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市場のギャップ: 市場価格が前日の終値よりも大きく下がる状態(ギャップダウン)または大きく上がった状態(ギャップアップ)の場合、トレーリングストップが希望の価格で実行されない可能性があります。
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単一の戦略: トレーリングストップのみの戦略ではリスクが高くなります。
まとめ
トレーリングストップは、リスク管理と利益保護が可能となる取引方法です。トレーリングストップを効果的に使用することで、取引戦略を強化し損失を最小限に抑え、利益を確保することができます。
取引スタイルや市場の状況に合わせてトレーリングストップを活用することで、情報に基づいた取引が可能となります。
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よくある質問
トレーリングストップは、ストップロス注文と比べて柔軟性があり、効果的なリスク管理が可能です。リスクを回避しながら、有利な市場展開の中で多くの利益を得ることができます。
5%のトレーリングストップは、低~中程度のボラティリティを持つ資産には適している場合がありますが、パーセンテージはリスク許容度や取引する資産によって異なります。
ボラティリティの高い市場でウィップソーリスクが発生する可能性があることです。短期的な価格変動がトレーリングストップを早い段階で機能させることがあり、取引終了につながることがあります。
市場が不利に動いた場合や大きな価格ギャップが生じた場合に、損失の可能性があります。
効果的な戦略は、取引目標、リスク許容度、市場の状況によります。トレーリングストップをポジションのサイズや分散投資など複数のリスク管理手法と組み合わせることをおすすめします。
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